Tくんの病気

「休職とかで逃げたくはない。だけど身体がついてこない」

そう言っていたTくん。先週とうとうまるまる仕事を休み、三連休が明けた今週の火曜日も仕事に来ることができないという状況を見て、責任の一端というか二端、三端は僕にあると思うのと、実際上の問題として彼の所属するプロジェクトが困り果てているという事情もあって、水曜日から、朝、彼の最寄り駅で待ち合わせて一緒に通勤してる。

彼の最寄り駅は、僕の通勤経路にある通過駅であるので、別段まわり道をしているわけではなく、ただほんらいの通過駅で一旦降車して、駅のフォームの先端で彼と合流したあとまた乗車するという、それだけのことなのだけど。

さっぱり眠れなかった、もしくは睡眠薬が抜け切らない、彼の顔色は毎朝真っ白で、足元もふらついている。確実に具合は悪いんである。生活のリズム作りになれば良いと思ってしているのだけど、僕は、僕自身がしてることが正しいことなのか、正直わからない。

 

さて、一緒に通勤するようになって三日目の今朝は、昨晩飲みすぎた所為もあって、僕のほうが家をちょっと出遅れてしまい。待ち合わせの駅に待ち合わせの時間に少し遅れて到着、メールの返事が来ないので、どうしているかと思い悩みながらも、いったん電車を降りたら、その直後に、いま電車に乗りましたとの彼からのメール。見事なすれ違い。

やれやれと思いつつ1本あとの電車に乗って、バスへの乗り換え駅で降りて、当然もう先に行ったのだろうと思ってバスに乗ったら、直後に「改札出たところでへこたれました」とのメールが着て。おいおいおい!すぐに次の停留所で降りて、朝とは云え日照り激しい銀座を走って、改札まで戻る。

真っ白な顔で駅の柱にもたれているTくん。「ごめん、ごめんな!」「いいえ、ほんとうにスミマセン有難う御座います…」謝り合う僕ら。Tくんの体調が激しく悪そうなのでタクシーに乗り込む。職場が近づくにつれなおさら苦しそうなTくん。僕は、僕自身がしてることが正しいことなのか、正直わからない。

 

わからないんだが、少なくとも、仕事を休み独り部屋に閉じ篭っていて、精神的に何か好転する要素があるとは僕には思えない。少なくもあと一週間くらい、Tくんが仮に嘘でも「有難う御座います」と言ってくれる限りは、このちょっと暑苦しい対応を続けようかと思ってる。こんなことを書きながら、若干自分の気持ちに酔ってる気配も如実に感じて、いやな気持ちも交錯するんだが、も少し続ける。